筆者コメント※26/7/22版
先日、WAIS-IVの記事をリリースさせていただきました。リリースさせていただいてから、1ヶ月程度しか経っておりませんが、既にかなり多くの数をご購入いただいております。
そのような中で、事前にWAIS-IVの問題を理解しておくことで、そもそも「理解が難しい」問題を出題される確率を低減し、試験日当日に自分のパフォーマンスを遺憾なく発揮したいと思われる方が、私が思っているより多かったことを理解しました。
今回は、WAIS-IVの記事と同様に、子供向けのウェクスラー式知能検査であるWISC-V知能検査についても同様の記事を書いていきたいと思います。
前回同様、今回の投稿も「少しでも良い全検査IQ(FSIQ)をたたき出すこと」を目的としておらず、本投稿を通じて
- 事前にWISC-Vの問題を理解しておきたい
- 試験日当日に自分のパフォーマンスを遺憾なく発揮したい
方におすすめの投稿になっております。
ぜひ一度中身をご確認いただき、本投稿をご購入いただければと思います。
(本人ではなく、親や兄弟がご購入してもご活用いただける内容になっております。)
WISC-Vとは、成人向けの(=5歳0カ月から16歳11カ月までに)、知能を測定するための子供向けの心理検査です。
WISC-Vは、ウェクスラー式知能検査の1種であり、70年以上の歴史がある世界共通の知能検査です。(WISC-Vの検査結果は、JAPAN MENSAの入会判定に利用することも可能です。)
WAIS-IVでは、「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」の4つの観点で知的能力を評価しておりましたが、WISC-Vでは、「言語理解」「視空間」「流動性推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」の5つの観点で知的能力を評価しております。
本投稿の目的は、「どのような問題を出題されるかを理解しておくことで、WISC-V受験日当日に本来のパフォーマンスを発揮すること」を目的としており、「少しでも良い全検査IQ(FSIQ)をたたき出すこと」を目的とはしておりません。
WISC-Vを受験する目的は様々ですが、多くの場合、他社と比較した自身の能力のでこぼこを理解することで、能力面での自身の強み・弱みを心得て、今後の生活に活かしていくことが目的となるでしょう。(神経発達障害の評価に用いられることもあり、その点では有用な検査になっていると私は思います)
したがって、WISC-Vの練習問題をたくさん解くことで、学習効果を高めた状態で本番の問題を解いてしまうと、自身の能力とは乖離した指標・全検査IQが算出されてしまいます。これでは、上記目的を達成することはできないでしょう。
一方で、WAIS-IV と同様、WISC-Vを受験した方の中には、
- 出題される問題の意味がよくわからなかった
- 問題の答え方が複数あると思ったが、その中のどれを答えれば良いかわからなかった
- 問題の答え方はわかるが、どれくらいの長さでそれを回答すれば良いかがわからなかった
といった感想を持たれる方も数多くいらっしゃいます。
このような「全く学習効果がない」状態で、「理解が難しい」問題を出題されていては、本来のパフォーマンスを発揮することができません。
そのような方のために、本投稿では、実戦形式でWISC-Vで出題される問題の類似問題を出題・解説していきます。(できるだけ多くの問題において、実戦形式で解いてもらうことを重視し、音声付きの問題文を記載しております。)
- 事前にWISC-Vの問題を理解しておきたい
- 試験日当日に自分のパフォーマンスを遺憾なく発揮したい
といった方にはおすすめの投稿になっておりますので、ぜひご一読いただけますと幸いです。(前回の投稿同様、WISC-Vと出題される問題と全く同じ問題は掲載しておらず、類似問題を記載しております)
WISC-Vことはじめ~5つの主要指標
WISC-Vは、よくIQを測定することができる検査と捉えがちですが、冒頭に記載した通り、「自身の能力のでこぼこ」を理解するための検査です。
自分の能力のでこぼこというのは、WISC-Vにおいては5つの主要指標の差分と理解しましょう。
ここでいう主要指標というのは、特定の認知領域の知的機能を表す指標のことであり、具体的には「言語理解」「視空間」「流動性推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」の5つです。
また、場合によっては、臨床的ニーズに基づいたさまざまなグループの認知能力を表す補助指標が使われることもあります。補助指標は、「量的推理」「聴覚ワーキングメモリー」「非言語性能力」「一般知的能力」「認知熟達度」の5つがあります。
前提ですが、ウェクスラー式知能検査では、認知的な領域の知能しか測定できません。例えば、目標意識や衝動性・不安などは測定できないため、ウェクスラー知能検査の結果のみをもって、何かの判定を下すことはできません。
一方で、上記の主要指標においては、内容的妥当性、基準関連妥当性、構成概念妥当性の3つの観点で妥当性が検証されており、おおむね満足のできる結果が得られています。
信頼性や有用性も高く、現在では広く人口に膾炙した知能検査になっています。
話をもとにもどしますが、WISC-Vでは、「言語理解」「視空間」「流動性推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」の5種類の主要指標に対して、合成得点を算出します。
合成得点は、一般的には下記と照らし合わせながらそれぞれの能力の高さを判断します。
IQ130以上:極めて秀でている(全体の2.2%程度)
IQ120~129:秀でている(全体の6.7%程度)
IQ110~119:平均の上(全体の16.1%程度)
IQ90~109:平均(全体の50.0%程度)
IQ80~89:平均の下(全体の16.1%程度)
IQ70~79:境界知能(全体の6.7%程度)
IQ70未満:知的障害(全体の2.2%程度)
下記に言語理解・知覚推理・ワーキングメモリー・処理速度の4種類それぞれの説明を記載します。
言語理解指標
言語理解指標(Verbal Comprehension Index)というのは、語彙やことばで説明する力を図る指標です。
言語理解指標が高い人は、言葉で何かの概念をまとめたり、それを説明することも得意であり、語彙力も豊富です。
言語理解には、類似・単語・知識・理解の4種類の下記検査があります。類似・単語は検査の中で必ず行われる基本検査になりますが、理解・知識は必要に応じて行われる補助検査になります。
それぞれの検査の内容は下記になります。
類似:2つの言葉の共通点や似ている点を答える検査内容です。
単語:出題される単語の意味を答える検査内容です。
知識:社会常識となっている質問に答える検査内容です。
理解:一般的な事象の原因を答える検査内容です。
視空間指標
視空間指標(Visual Spatial Index)というのは、見たものを頭の中で正しく把握し、それを再現したり構成したりする力を図る指標です。
視空間指標が高い人は、形・位置・向き・距離などを正確に把握することが得意であり、見た図形を頭の中で保持し、回転・反転して考える力があります。
視空間には、積み木模様・パズルの2種類の下記検査があります。どちらも検査の中で必ず行われる基本検査になります。
それぞれの検査の内容は下記になります。
積み木模様:積み木を使って、指定された図形を作る検査内容です。
パズル:モデルと同じものを、図形を組み合わせて作成する検査内容です。
流動性推理指標
流動性推理指標(Fluid Reasoning Index)というのは、新しい情報をもとに論理的に推論し、問題を解決する力を評価する指標です。
流動性推理指標が高い人は、直感や直観に頼らずに、見たことのない問題を解くことが得意です。
流動性推理には、行列推理・バランス・絵の概念・算数の4種類の下記検査があります。行列推理・バランスは検査の中で必ず行われる基本検査になりますが、絵の概念・算数は必要に応じて行われる補助検査になります。
それぞれの検査の内容は下記になります。
行列推理:行列の1部分を、他の行列を見ながら完成させる検査内容です。
バランス:天秤が釣り合うための適切な図形を選ぶ検査内容です。
絵の概念:複数の絵から共通の特徴をもつものを選ぶ検査内容です。
算数:文章題を暗算で答える検査内容です。
ワーキングメモリー指標
ワーキングメモリー指標(Working Memory Index)というのは、耳で聞いた情報を短時間記憶にとどめながら作業する力を図る指標です。
ワーキングメモリー指標が高い人は、聞いた情報を頭の中で整理することが得意です。また、短時間で集中して物事に取り組む集中力があります。
ワーキングメモリーには、数唱・絵のスパン・語音整列の3種類の下記検査があります。数唱・絵のスパンは検査の中で必ず行われる基本検査になりますが、語音整列は必要に応じて行われる補助検査になります。
それぞれの検査の内容は下記になります。
数唱:耳で聞いた数字をそのまま復唱したり、反対の順序に並び替えて復唱する検査内容です
絵のスパン:絵カードを指定された順序通りに並び替える検査内容です。
語音整列:出題されるひらがなと数字を順番に並べて答える検査内容です。
処理速度指標
処理速度指標(Processing Speed Index)というのは、単純作業を素早く正確に行う力を図る指標です。
処理速度指標が高い人は、単純な作業をミスなく、スピーディーに行うことが得意です。
処理速度には、記号探し・符号・絵の抹消の3種類の下記検査があります。記号探し・符号は検査の中で必ず行われる基本検査になりますが、絵の抹消は必要に応じて行われる補助検査になります。
それぞれの検査の内容は下記になります。
記号探し:指定された記号と同じ記号を探す検査内容です。
符号:指定された順序通りに記号を書き写す検査内容です。
絵の抹消:似た図形の中から特定の図形を探す検査内容です。