善意がその業界の成長を止めてしまうーー
そのような業界があると思う。
1つには飲食業界、もう1つには塾業界があるだろう。
よくニュースで、「デカ盛り!学生街を支える500円のコスパ飯」などとニュースになっていることがある。
ニュースをよく聞いていると、ともすれば赤字になることもあるが、国からの補助金・助成金を活用しながら、飲食店としてはぎりぎりの経営ができているそうである。
このような飲食店では、お金がない学生を支えるための「善意」を持っている方が経営していることが多い(なお、このような飲食店は会社員を定年退職した高齢者が経営していることが多い)。
地域の消費者にとっては、良く思われることが多いだろうが、地域の飲食店事業者にとっては、良く思われないことが多い。
私としても、良く思っていない。
なぜなら、商品原価を度外視した状態での商品提供は、その商圏内でのその商品の平均価格を不当に棄損するからである。
このような飲食店では、補助金・助成金を活用してぎりぎり黒字であるのであるから、補助金・助成金がなければ赤字である。
飲食店事業(通常のレストラン型のもの)は、その事業の特性上、原価を著しく抑えた上での事業運営は厳しい。
大ロットで調達できないのであれば、食材や人件費などは変わらないことが多い。
したがって、飲食店事業は、商圏の影響を多分に受ける事業である。消費者からみると、それは「商品(その日食べるランチ・夜ご飯)を、価格・味・口コミなどを総合的に評価し、比較検討しながら購買する」ということになるが、このときに不当に価格が安い商品が販売されると、味・口コミが良くないとしても、その商品を購買する消費者が増える。
通常であれば、そのように不当に安い商品を継続的に販売すれば、薄利多売を目的とした事業でなければ、事業運営は苦しくなる。
しかし、国からの補助金・助成金を活用することで、本来では成り立たないビジネスモデルが、成り立ってしまうようになる。
このようになってしまうと、補助金・助成金に頼らず、自力で商品を販売している飲食店は"商売あがったり"である。
このように、ちゃんとやっている事業者が損をして、(善意でやっていることなのだが)ちゃんとやっていない事業者が得をすることが横行してしまっている。
塾業界についても、定年退職をした"塾長"が人に貢献したい想いで、補助金・助成金に頼りながら塾を始めることもあるため、同様のことが言えるだろう。
塾も商圏ビジネスであり、同商圏内に不当に価格が安い事業者が、事業がつぶれずに生き残り続けていると、商圏内の塾相場が棄損される。
コロナ禍の際、飲食業界が赤字になり、国からの補助金・助成金の振り込みが遅れたことで倒産した飲食店もあっただろう。
国のオペレーションが遅いことも悪いのだが、私としてはウイルスなどの影響を受けやすいことを理解した上で事業を始めるべきであり、もしものことが起きたために飲食店事業者側でキャッシュを蓄えておくべきであると思う。
補助金・助成金がないと成り立たないビジネスは、その時点で「続けるべきではないビジネス」である。それを見極める手腕を事業主に求めたい。
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